医療事務の資格、取ろうか迷っていませんか?
病院の事務を仕事の候補にしているけれど、実際の働き方が見えなくて不安な人もいると思います。
私は、大学病院で通算15年(今の職場は9年目)働いている派遣の事務スタッフです。
医療事務の資格を持っていますが、受付や会計、レセプトの仕事はしたことがありません。
カルテのスキャンなどを担当する、病院の裏方の事務です。
資格を取ったのに、資格のいらない仕事を選んだ。
その理由と、15年働いてみて分かったことを正直に書きます。
この記事で分かること
- 医療事務の資格を取っても、資格を使わない職場に行くことがある理由
- 病院の裏方事務(スキャンセンター)の仕事と職場の雰囲気
- 病院の裏方事務に向いている人・向いていない人
- 資格を取る前に考えておきたいこと
医療事務の資格は、なぜ取ったの?
就活がうまくいかず、資格を取ろうと決めた
新卒で入った会社を辞めたあと、私はバイトをしながら就活をしていました。
でも、なかなか決まりませんでした。
新卒5ヶ月で辞めた。「なんで自分はできないんだろう」と自分を責めた日々
うまくいかない中で「資格を取ろう」と考えたとき、母が教えてくれたのが「基金訓練」です。
基金訓練は、仕事を探している人向けの国の職業訓練でした。
2011年10月からは「求職者支援制度(求職者支援訓練)」に引き継がれています。
医療事務を選んだのは「引っ越しても働ける」と思ったから
いくつかあるコースの中から医療事務を選んだのは、母に勧められたからです。
私自身にも、ひとつ理由がありました。
「結婚して引っ越しても働ける」と思ったんです。
3ヶ月で医療事務の資格を取った
基金訓練に3ヶ月通い、次の資格を取りました。
- 医療事務技能検定 2級
- 医事コンピュータ技能検定
ただ、結論から言うと、私はこの資格を仕事で使っていません。
派遣会社から紹介されたのは、資格がいらない職場だったからです。
紹介されたのは、資格がいらないスキャンセンターだった
派遣会社から届いたのは「新規立ち上げ」の仕事
資格を取って派遣会社に登録すると、紹介されたのは大学病院のスキャンセンターでした。
医療事務の資格は必要ありません。
それでも、私はこの話にひかれました。
新しく立ち上げる部署だったからです。
先輩も後輩もいない職場が、魅力的だった
新規立ち上げということは、先輩も後輩もいません。
みんなスタートが一緒で、上下関係がない職場です。
私は以前、上司からパワハラを受けたことがありました。
だからこそ「みんな同じ位置から始められる」という条件が、何よりも魅力的に見えたんです。
資格より、環境を選んだ
資格は活かさない。
でも、環境を選んだ。
当時の私の判断を一言でいうと、こうなります。
もうひとつ、「とりあえず病院で働いた実績を作ろう」という気持ちもありました。
こうして私の最初の職場は、いきなり大学病院になりました。
【内部リンク:HSS型HSPの職場選び・働き方の記事】
未経験で入った病院の経験が、次の職場の応募条件になった
最初の病院には、未経験で入った
最初の大学病院には、病院で働いた経験ゼロの状態で入りました。
資格はあっても、実務は何も知らないところからのスタートです。
一度病院を離れ、フリーランスに
その後、私は一度病院を離れました。
別の仕事を手伝うことになり、フリーランスとして働いていた時期があります。
しばらくして、同じ派遣会社に戻りました。
「スキャン作業がある」の連絡で、今の職場へ
最初に紹介されたのは、今の職場の別業務の求人でした。
条件が合わなかったので、そのときはスルーしています。
その後、担当の人から連絡がありました。
同じ部署で別の仕事があり、そこにはスキャン作業もある、という内容です。
それなら私の経験が活かせると思い、受けることにしました。
応募条件は「総合病院以上で1年以上の勤務経験」だった
今の職場は、私が応募した当時「総合病院以上で1年以上の勤務経験」が条件でした。
今は条件が緩くなっていると聞いています。
最初の病院に未経験で入っていなければ、この条件は満たせませんでした。
なんだかんだ働いてた経験が、こうやって活かせたんだな。
そう実感しています。
資格がなくても、病院で働いた経験そのものが次の職場への切符になる。
これは、私が大学病院で通算15年働いてきて、いちばん伝えたいことのひとつです。
スキャンセンターって、どんな仕事?
紙の書類を、電子カルテに取り込む仕事
ひとことで言うと、病院で使われた紙の書類をスキャンして、電子カルテに取り込む仕事です。
スキャンする前に、患者さんの名前の間違いや記入もれがないかを確認します。
ここを見落とすと、間違った情報がそのまま電子カルテに残ってしまうからです。
同じスキャン業務でも、書類の集め方やチェックの細かさ、使うソフトは病院ごとに違いました。
【内部リンク:スキャンセンターの仕事内容をくわしく書いた記事(今後作成)】
職場の雰囲気は、病院によってまったく違う
前の職場は、上司が同じ部屋にいませんでした。
たまに雑談まじりで作業をして、たまーに仕事終わりにみんなでご飯に行く仲でした。
今の職場は、職員と派遣スタッフがきちんと分かれて管理されています。
私語をすると注意されます。
同じ仕事でも、職場の空気は病院ごとにまったく違う。
これは、2つの病院で働いてみて分かったことです。
医事課に行かなかったのは、なぜ?
医療事務の資格を活かすなら、本来は医事課(受付や会計、診療報酬の請求などを担当する部署)が働く場所の候補になります。
参考:医療事務|厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)
それでも私は、医事課を選びませんでした。
私の職場の医事課は、いつも追われているように見えた
私の職場で見ていた医事課は、常に忙しそうでした。
いつも何かに追われている。
そんな空気を感じていました。
優しかった人が、変わっていく姿を見た
忘れられない場面があります。
上司が代わったあと、以前は優しかった事務員さんが、目の下にくまをつくるようになりました。
挨拶をしても、反応が冷たくなってしまったんです。
その人に何があったのか、本当のところは分かりません。
でも、私には衝撃的でした。
患者さんの怒りが、私に向けられた
書類の回収で医事課の近くに行ったときのことです。
患者さんから「どれだけ待たせるんだ!」と、私が言われてしまいました。
私は回収に来ていただけで、窓口の担当ではありません。
でも、まわりの誰も対応しようとしませんでした。
私は大声を出して「対応お願いします」と呼びかけました。
そのとき、よくない状況だと感じました。
「自分がここにいたら」と考えてしまった
人の様子の変化に気づきやすい私は、こうした空気をそのまま受け取ってしまいます。
資格を活かすことより、自分がすり減らずに働ける場所を選びたい。
それが、医事課に行かなかった理由です。
これは、あくまで私の職場で、私の目に映った医事課の姿です。
医事課がどこも同じだというわけではありません。
病院の裏方事務、向いているのはどんな人?
最初は「どこ?なにそれ?」の連続だった
病院で働きはじめて最初に戸惑ったのが、診療科や部署の呼び方です。
病院の中では、正式名称ではなく略した呼び方が飛び交っています。
| 病院での呼び方 | 意味 |
|---|---|
| ウロ | 泌尿器科(英語の Urology から) |
| DM | 糖尿病の診療科(糖尿病を意味する Diabetes Mellitus の略) |
| 消内 | 消化器内科 |
最初は「どこ?なにそれ?」となりました。
分からないものは質問したり、書類に書かれた文字を見て納得したりして、少しずつ覚えていきました。
正直に言うと、DMは今でも「何これ」って感じです。
事務でも、つらい写真を目にすることがある
裏方の事務でも、事故や手術に関わる写真を目にすることがあります。
直接ではなく、写真や画面越しです。
それでも強い抵抗がある人には、難しい仕事かもしれません。
挨拶をしても、返ってこないことがある
最初の病院で、書類の回収箱を設置しに病棟へ行ったときのことです。
看護師さんに挨拶をしても、無視され続けました。
これは衝撃的でした。
その後は、無視されるのが当たり前になって、慣れてしまいました。
それでも「挨拶しながら入らないと怒られる」と聞いて、なんじゃそりゃと思いましたけどね。
向いている人
大学病院で通算15年働いてきて、裏方事務に向いていると思うのはこんな人です。
- 座り仕事が苦じゃない人
- パソコン作業が苦じゃない人
- 患者さんとの関わりは少なくても、同じ部署の人とはコミュニケーションが取れる人
- 派遣先の指示に、怪訝な態度を見せずに従える人
向いていない人
反対に、しんどくなりやすいのはこんな人です。
- 専門用語に慣れるまでの「分からない」状態がつらい人
- 写真や画面越しでも、事故や手術の写真に強い抵抗がある人
- 「このやり方は間違っている」と、自分のやり方を曲げられない頑固な人
職員さんと話していると、「よそはよそ、うちはうち」というニュアンスの言葉をよく聞きます。
これは病院に限らず、どこの職場でも同じだと思います。
年齢を重ねるほど「前の職場ではこうだった」という言い方がつい出てしまう、という話も聞きます。
経験がある人ほど、気をつけたいところです。
振り返って、医療事務の資格は無駄だったのか?
無駄だったとは思っていない
結論から言うと、資格を取ったことを無駄だったとは思っていません。
ただ、仕事で使うことはありませんでした。
「とりあえず」の居心地のよさで、働き続けてきた
とりあえずで入ったスキャンセンターは、居心地がよい場所でした。
一方で、医事課の雰囲気は、私は好きになれませんでした。
そんな気持ちのまま、病院の裏方事務を続けてきました。
15年働いても、医療事務の経験は積めなかった
その結果、どうなったか。
大学病院で通算15年働いても、医療事務としての経験は圧倒的に積めませんでした。
資格を取った当時の私は「結婚して引っ越しても働ける」と考えていました。
でも、資格を持っているだけでは、その未来にはつながらなかったんです。
資格は「必ず活かす」と決めた人の武器になる
それでも、資格が役に立たないとは言いません。
「取ったら必ず医療事務として働く」と決めている人にとっては、資格は武器になると思います。
条件のいいクリニックで働けたり、引っ越し先で仕事を探しやすくなったりする、という話も聞きます。
| 資格を取るメリット | 気をつけたいこと | |
|---|---|---|
| 仕事探し | 医療事務の求人に応募するときの材料になる | 資格がいらない職場を紹介されることもある(私の場合) |
| 働く場所 | 引っ越し先でも探しやすいと聞く | 実務経験がないと、資格だけでは評価されにくい印象がある |
| キャリア | 医療事務として経験を積む入り口になる | 資格を活かさない職場に入ると、医療事務の経験は積めない |
これから医療事務の資格を取る人へ
資格を取る前に「その先どうしたいか」を考えてほしい
医療事務の資格を取ろうか迷っている人に、いちばん伝えたいことがあります。
資格を取ったとして、その先どうしたいのか。
それをよく考えてから取ってほしいんです。
医療事務として働きたいのか。
病院で働ければ、仕事内容は問わないのか。
引っ越しや結婚のあとも、続けられる仕事がほしいのか。
答えによって、資格の意味は大きく変わります。
「とりあえず」で選ぶなら、キャリアのことも一緒に考えて
私は、とりあえず働きたくて、資格がいらないスキャンセンターを選びました。
居心地はよかったし、その経験が今の職場につながりました。
でも、実績を積むなら、ちゃんとキャリアのことも考えてほしいと思っています。
自分の未来のために、です。
紙中心の仕事だからこそ、新しい勉強を始めた
今の私の仕事は、紙の書類が中心です。
だからこそ、ブログやAIの勉強を始めました。
【内部リンク:ブログやAIの勉強を始めた記事】
まとめ
医療事務の資格は、「必ず活かす」と決めた人には武器になります。
私は使いませんでしたが、病院で働いた経験そのものは、次の職場への切符になりました。
資格を取るか迷ったら、まず「その先どうしたいか」を考えてみてください。
この記事を書いた人
さくと
大学病院で通算15年(今の職場は9年目)働く、派遣の事務スタッフです。
カルテのスキャンや書類の不備チェックなど、病院の裏方の事務を担当しています。
就職氷河期世代で、HSS型HSP。
保有資格
- 医療事務技能検定 2級
- 医事コンピュータ技能検定
ブログを書いている理由
繊細さんが、自分に合う働き方を見つけるヒントになりたい。
そんな思いで、自分の働き方や経験を書いています。
